道の駅

 相性がよい時は不思議なくらいよい連鎖が起こる。逆も真なりなのだが。 年配の女性が妹さんを紹介してくれた。本人の逆流性食道炎漢方薬2ヶ月服用で完治したので、妹の長年の蓄膿症と胃にポリープが一杯出来るたちが治らないかと相談してくれたのだ。妹さんも2週間服用で、緑の鼻と鼻づまりと喉に降りる症状がかなり治った。そして今日1時間半かかるところから又漢方薬を取りに来てくれたのだが「本当にここを紹介して貰えて幸せだった」と言ってくれた。この言葉は勿論有り難いのだが、僕にはもっと有り難いことがその後起こった。  症状の変化を教えてくれるとその女性は「買い物に行ってきていいですか?」と僕に尋ねた。勿論出かけてもらえればゆっくり作ることが出来るから当方にとっても歓迎だ。女性は1時間位して帰ってきた。「買い物って言われたけれど牛窓を知っているの?」と尋ねると「2週間前に姉に連れてきてもらった時、牛窓で魚を買ったんです。新鮮でとても美味しかったから今日は絶対買って帰ろうと思っていたんですよ」と答えた。彼女の住む町は牛窓から北へ1時間半くらいで、そもそも出身はその又北の中国山地の山間の町なのだそうだ。だからスーパーでしか買えない魚に比べてあまりにも美味しくて、わざわざ牛窓に来ることが苦にならないのだそうだ。 自分の仕事ばかり懸命に取り組んできたから、この町に経済的に何ら貢献していないことが少しばかり後ろめたさとして頭の片隅に常に残っている。大きなことは出来ないが何か小さなことでも貢献できないかと考えた末、出来ることはこの女性のように薬局に来たついでに牛窓で少しでも買い物をしてもらうことだと思いついた。その為には漢方薬の実力を磨いて、町外からどんどん来てもらうようにしなければならない。今でも半分の人は遠くから来てくれる人達だが、もっと多く来てもらって薬の待ち時間に田舎の町を楽しんで貰えたらと思っている。魚でも野菜でもお菓子でも備前焼でもいいから牛窓の生産者の腕を楽しんで貰えたらと思っている。牛窓に道の駅が出来たらいいなと常々考えているが、その種の幸運は訪れそうにないから、せめて「未知の駅」に誘える漢方の実力を付けようと思う。