疾走

 2日目は税務署の方もすることがなく、税理士さんと雑談をして帰っていった。その中で興味深い話があった。税務署の方はストレスがないのだろうと言う僕の冗談を受けて、税理士の方が、仲間に早死にをする人が多いという話をされた。同業者だから具体的な仕事ぶりも知っておられたみたいで、どの職業も頑張りすぎ病で寿命を縮める人が多いみたいだ。しかし、頑張るなと言われても性格的に手を抜くのが下手な人が多いから、人生を疾走してしまう人がいるのだろう。 早死にの代表として相撲取り、医者あたりは良く知られていることだが、これからはこれに税理士を加えなければならないのだろうか。僕の回りでは「難病を扱っている漢方薬局」も同様だ。薬局は本来難病など扱うべきでないし、能力的に扱えるわけもない。しかし、時々敢えてそれを標榜する強者がいるからすごいと思う。本気なら身の程知らずだし、冗談なら質が悪い。大学病院が手に負えないものが僕らの肩書きで何とかなるはずもなく、偶然の成果を普遍的な症例にしてしまう横暴は許されない。  どの世界でもカリスマがいて、世間の注目を浴びるが、カリスマを通して本質を見てもらうことは出来ない。もくもくと地道に、功を焦らず毎日を過ごしているのがほとんどの漢方薬局だと思っている。いや、薬局だけではなく他の職業も同じだ。ちまたに溢れている僕らはカリスマどころか、フスマみたいなものだ。人間の厚みにしたって重みにしたって薄くて軽い。