行列

 毎日、目が覚めるや否や、言葉の行列がやってくる。覚醒した大脳より早く言葉の方が飛び出してくる。それらに秩序を持たせるには時間を要す。僕の中に僕もいて、僕でない僕もいて、僕になりたがったり、僕に戻りたがったり、僕でないように離れていこうとする僕もいる。結局僕は1日中、本当の僕を探しつづけるのだが、そんなものいるわけがない。本当の自分、完成された自分なんか真っ平だ。不完全だから、無限の言葉を並べたて、細工を施して、縄で束ねたり、針金で絞ったり、糊でくっつけたりしているのだ。厳選された言葉は鋭利な刃物。肉体より先に精神が滅ぶ。行列に秩序を、秩序に愛を。