ヤモリ

 2つある栄町ヤマト薬局のホームページが更新されていないことに気がつかれた方がもうおられると思う。ホームページを操作出来る薬剤師さんがばててお休みなので更新できないでいる。僕は全くその種のことに疎いので代わりにと言うわけには行かない。ホームページを開いて何も読むべきものがない時の落胆ぶりは、僕も経験しているのでなるべく毎日更新したいのだが、アナログの僕としては、ただただ申し訳ないと思っている。ホームページが更新されたら、やっと栄町ヤマト薬局の片肺飛行が終わったと思ってくださって結構だ。1人で二人分の薬剤師は出来ない。  僕の師匠に質問の電話をした時に「そんな難しい患者さんが来たら面白いだろう」と言われた。難しい人が確かに沢山来てくれるようになったけれど、師匠のようにそれ自体を楽しむことなんてまだまだ出来ない。やたら緊張して、頭の中でノートを早送りする。薬局には薬局の守備範囲があり、それを逸脱しないことは大切だ。患者さんは薬局のためにあるのではなく、投資した額の分健康を得る権利がある。その権利を奪わないことが大切だ。だから薬を選択するときはかなりの緊張を強いられる。その緊張にもう耐えられなくなりつつあるのか、胃の裏辺りに鉛をうちこまれたくらい背中が痛む。  窓ガラスの向こうにへばりついたヤモリがやっと虫を捕まえた。何回も挑戦して、蛾を口にくわえた。美味しいのかまずいのか知らないが、毎晩光を求めてやってくる虫を待っている。何を考えているのか何も考えないのか知らない。不釣合いな吸盤以外に進化させるところはなかったのか。今の僕と同じだ。停滞して蛾のような日常を食らっている。