破天荒

 今日、中古の分包器を三万円で買った。調剤薬局を閉めた方から買った。色々ないきさつがあって、医者とついに仲たがいして薬局を閉めたようだが、ごたごたで5Kgやせたといっていた。元の値段が幾らか知らないが、仲介してくれた問屋のセールスが、耳元で「お買い得ですよ」とささやいていた。栄町ヤマト薬局には2台分包器あるので、それも1台は似つかわしくないくらい立派なもので、当面は新たに必要ないのだが、T薬剤師の主婦感覚の発想で手に入れることにした。やはり彼女もお買い得だと判断したのだろう。古い方の分封器を見て、運搬を手伝ってくれたセールス達は、僕らの年令より古いと言っていた。面白い例えをするものだと、思わず笑いを誘われた。このところ笑いを忘れているので、久々に声を出して笑ったような気がした。確かに31歳の彼らより古いと思う。20年以上前、中古で手に入れた時にはもう10年やそこら使われていたはずだから。しかしそうしてみたら、耐久性に優れている。今でも毎日大活躍して主に漢方薬の調剤に使っているが、何ら不自由はない。それと古典的なシンプルな作りだから故障がない。新しい分封器は定価だとベンツが買えるくらいだが、しょっちゅうメンテナンスに会社から人がくる。又操作が複雑で、買ってから15ヶ月が経って今だ僕は使えない。T薬剤師さんだけが使える。一念発起して覚えてやろうと明日セールスに来てもらう約束をしたのだが、セールスの忍耐と僕の忍耐の勝負になりそうな気がする。  毎日懸命に薬について勉強して実践してきた。がむしゃらだった。こうして振りかえってみると、中古でもやっと分包器を手に入れ、薬剤師らしくなったと喜んでいたのがつい昨日のような気がする。本当に歳月の流れは速い。人の一生なんてこんなに早いんだと、是非若い人に伝えたい。躊躇する時間なんてない。やりたいことをやって、破天荒に生きるべきだ。似合わないくらい真面目に生きてしまった僕からの贈る言葉