貧困

 OECD経済協力開発機構)加盟国の中で、日本はアメリカに次いで、堂々2位の相対的貧困率だ。こんなことを言うと不思議に思うかもしれないが、日本の所得格差が拡大し、可処分所得の中央値の半分以下の人達の割合が13・5%もいるらしい。見かけは今までのように富んだ国のように思えるかもしれないが、貧困層は確実に増えている。  それはそうだろう。企業は正規雇用を減らし、派遣と言う名の無保証の新貧困層を作り出している。社会保険も健康保険もない、綱渡りみたいな人生を歩ませている。無職よりはいいと、短期契約の仕事につくが、お金なんか残りやしない。体が持つうちはよいが、いったん健康を損ねたらなんにも残らない。墓石一つ残らない。  テレビをはじめマスコミは、朝から晩まで幸せの映像を垂れ流しにする。それを見ていたら自分が六本木ヒルズの住人のように高級車に乗り、高級レストランで食事をし、豊な経歴と、豊富な人脈を得るかのように錯覚する。本当は、コンビニで100円のおにぎりを買い、誰かが捨てた週刊誌を読み、自動販売機のつり銭をあさるのに。誰が幸せをもたらしてくれる?自分の力で勝ち取れ?もうとっくに勝負はついている。同じ土俵は用意されていないのだ。最初から越えられない壁が立っている。  嘗てこの国にあった光景が又復活する。その時になって慌てても、もう遅い。貧困から脱出するのに勉強する?暴力を取る?どちらが努力せずに手に入る?答えは決まっている。新貧困層を作っているのは、おじいちゃんや親の世代の経営者や政治家だ。自分の子や孫と重ねてみることはできないのか。この国は若者の忍耐で持っている。いつまで若者が従順でいられるのだろう。