かんな

 今、あるトラブルで電話をしまくっている。この時間帯にお世話にならなければならないのは恐縮だが、畑違いの僕には為すすべはない。餅は餅屋で、平生何気なく接している人でも、いざその人の領域に入れば大変心強い。こうして人は皆、自尊心を得て一生生きていけれるのだろうと思う。多くの才能を持った人はより華やかな登場人物を演じ、持てない人は持てない人なりにある領域に突出した役割を果たす。こつこつ努力して得た職人技は、一瞬のうちにロボットにとって替わられるが、効率を超越したところでは、職人には勝てない。僕らは人生の職人を目指して目立たず、ひっそりと心のカンナをとがなければならない。