漢方

食養生

「割り勘だったら、もったいないから食べんわけにはいかんじゃろ!」と、僕には分からない理由で養生法を破ったことを自白した。 僕は意外と食事療法を押し付けない。自分が守れないようなことは要求しないし、そんなことしなくても健康になってもらえる方法…

購買意欲

ある漢方問屋さんから、朝鮮人参のいい物が入ったからどうですかと誘われ、沢山仕入れた。沢山仕入れたので調剤だけでなく健康維持のために飲んでもらおうと店頭に陳列することにした。僕の薬局は漢方薬を多く扱っているが、漢方薬を基本的には店頭に陳列し…

仕事

僕が若いときから丸山ワクチンと言う免疫を強くする薬は有名だった。いつの間にか聞かなくなったが、実際には今だその治療をしている医療機関があるらしい。岡山県でも数箇所の医療機関がやってくれるらしいし、実際に僕が漢方薬でお世話をしている人も、そ…

安易

今朝の症例報告に少し手を加えて書く。何しろかなり踏み込んで書けるのはこのブログだけだから。 70歳を少し回ったばかりの女性が、年末に交通事故に逢い入院していた。退院してから体調不良が続き、心療内科にかかっている。そこで睡眠薬2種、抗ウツ薬2…

お疲れ様です。 猫さんの相談なのですが、現在15才で5年ほど前に他の猫さんと同居させたところひどくいじめられ、ストレスから脳疾患になり眼振が起こるようになったそうです。眼振が起こっている最中はふらつきが出て階段から落ちたりするそうです。同居は…

安土桃山時代

あまり、よその薬局では見かけない光景かもしれない。古い薬局だからこその光景かもしれないが、面白いから披露する。面白いのはひょっとしたらそんな要望をする患者さんのほうかもしれないが。 薬局を開ける時間が待てなかったのだろう9時前に電話がかかっ…

誠実

初対面なのに「腰はもうよくなりましたか?」と尋ねられた。そんなに僕は有名ではないからどうして知っているのだろうと思ったが、ちょうど2週間前に初めて処方箋を持ってきた女性だった。産後の不調をうつ病と診断され、その種の治療を受けて、勿論全く改…

最後通告

老けて見えるのか実年齢か分からないが、恐らく50歳くらいの人だと思う。ある有名な製薬会社のセールスとして数ヶ月前初めて僕の薬局の担当になった。その彼が先月訪ねてきた時にひどく咳き込んでいた。僕の前ではそんなに咳いてはいなかったが、話による…

第二の人生

ある大病院の先生が、患者さんが示したお薬手帳を見て「これは漢方薬をよく勉強している専門の先生ですね」と言ってくれたそうだが、息子が本格的に患者に漢方薬を出し始めたのは9ヶ月前からだ。それまでは、なんとなく〇〇〇の漢方薬を時々は使っていたみ…

胃腸風邪

今年流行るノロウイルス(胃腸風邪)は新型だからほとんどの人が免疫を持たず、誰でもかかる可能性が高い。だから、僕の薬局で作っている胃腸風邪用の漢方薬を前もって持っていてくださいとお願い(宣伝)しているのだが、まさか僕が早くもお世話になるなん…

余地

漢方薬って長く飲まないと効果がない、といわれていますが…?と言うタイトルのコーナーに回答を寄せてと頼まれたので、以下のような短文を書いた。ちょっと行儀がよすぎるのでもっとざっくばらんに書き足してみる。 漢方薬も立派な薬だから、数十分もしたら…

適当

「えらい適当やね」は笑顔で言ってくれたから、いやみではなく本心なんだろう。そう言われて反論する気概もない僕は「僕はすごい適当ですよ」と臆面もなく答える。 都会から牛窓に越して来たその女性から受ける印象は、知性?自然?芸術?ヒッピー?職人?・…

飼い殺し

ウツウツとしているくらいな状態で初めて治療を試みる人が薬局に来ることは間々あるが、うつ病の人が薬局を第一選択としてやってくることはまずない。この方もうつ病の治療を専門病院で何年か経験してから、相談してくれた。この方の雇用主の税理士と、僕の…

濃度

「こりゃあ、ダメだわ、効くわけがない」思わず口から出た言葉だ。 勉強に来ている薬剤師が相談を受けた事例だが、どうしても粉の漢方薬がこれ以上飲めないから(既に2種類粉の漢方薬を飲んでもらっている)食欲を作る漢方薬は是非錠剤にして欲しいと頼まれ…

敷居

漢方薬を作りながら思わず涙ぐんでしまった。薬剤師らしからぬ行為だが、少しくらい感情移入してもかまわないだろう。嬉しかったのだから。 いかにも田舎のおばちゃんで、愛想は悪いが、心根は悪くない。僕が牛窓に帰った頃から薬局を利用してくれている人だ…

応援歌

倉敷であった和太鼓のコンサートから帰ったのが8時前だったのに、今10時過ぎまで2時間半、かの国の子の寮にいたことになる。そのことを特別許してくれている工場の責任者に感謝したいが、今夜の長居は結構深刻な内容だった。 僕がかの国で薬局を開けば、…

食い物

ほとんど実益よりも小さな旅行の意味も含めて、県外の医者対象の漢方の勉強会にもしばしば出席する。医者の世界は見ていて歯がゆいことが多い。立派な人が多すぎるのか、なぜかよそよそしい。形式ばっている。僕がお世話させていただいている薬剤師だけの勉…

同伴者

僕にはその若い女性が薬局に入ってきたときから、何か心の問題を抱えている事が分かった。お腹の処方箋を持ってきたのだが、お腹は単なる代償でしかないと思った。そのことをその女性にも説明して、勇気を持って対処してもらうように心がけた。 夕食を食べな…

墓穴

こう言った頼まれ方をしたことがない。ただ、その輝いた目からはそれが本心だと分かる。もう10数年会っていないから当時の神経質で華奢と言う女性の面影はなく、ふっくらとしている。病気を訴えられなければ何処が悪いのだろうと思ってしまう。 「私は、5…

理由

「 急に胸が痛くなる。急に息苦しくなる?」きっとこの女性は僕のところに相談に来ると思っていた。数日経っても来ないからどうしたのかなと思っていたら、ストレスが原因で、狭心症と同じような症状を示すと病院の検査で分かったらしい。動脈硬化が進んで、…

連発

僕は精神的な病気の悩みで相談に来た人に、病院の薬をやめてくださいなんて決して言わない。その種の薬を急に止めると悪性症候群と言う副作用が現れる恐れがあると、息子にいつか教えてもらっているからそれを守っているし、そもそも病院にかかっている人を…

思う壺

「親父が脚立に上って木の剪定をして困る。落ちて怪我をしても知らんぞと言っているんです」と、僕より数歳は上に見える男性が、あきれたように言うが、それは違う。5月の頭には「一日中痛い痛いと言っているのに、病院に行っても先生は相手にしてくれんか…

時代遅れ

漢方薬の処方箋を持ってきた方のために漢方薬を作っていたら、電話が鳴り、娘婿が出た。なにやら蕁麻疹の相談みたいだった。僕に振ってくるのかと思っていたら、自分で相談を受けていた。話の成り行きからストレス性のものだろうというようなことを言ってい…

人体実験

「ゲージに入れている犬を連れて入ってもいいですか?」と尋ねられたことで二つのことが簡単に分かる。ひとつは薬局に犬を連れて入ってもいいかと許可をもらう良識。もう一つは犬を愛する気持ちの深いこと。気温が上がって、車に残しておけば熱中症になるか…

結託

ある方に電話で相談を受けた。長年苦しめられているトラブルの相談。僕は今までどんな治療をしたか尋ねることはめったにしない。現在飲んでいる薬は併用注意のために必ず尋ねるが、過去のものは聞かない。それまでの治療が効かなかったから僕に接触してくれ…

薬局に入ってくる瞬間にずいぶんと回復している事が分かった。2週間前、薬局に入ってくる瞬間に心を病んでいる事が分かったのとは対称的だ。今日もこうした心を病んだ人が、数人来た。僕が決して標榜しているわけではないけれど、そうした人が多い。 その中…

兄妹

娘が久しぶりに漢方の患者さんの相談に乗った。今月一杯で市民病院の分院が閉鎖されるから、2年ぶりに本来の形態に戻そうと気持ちを持っていっているところだった。そのために気持ちの準備が出来ていたのか、初めてやってきてくださった人を応対していた。…

湿度

「今日は漢方薬作れますか?」と薬局に電話をしてくるのだから、よほど知識がない人かと思うが全くその逆なのだ。その人は今朝からの湿度の変化を見ているのだ。そしてある湿度を割った時点で電話をしてきたのだ。食べ物の世界ならいわゆる「通」と呼ばれる…

濃度

今は亡き、ある漢方問屋のセールスからの助言を守り続けていて良かったとつくづく思った。その助言に素直に耳を貸していなければ、今頃僕はこうして漢方薬の仕事が出来てはいない。 今僕が事務方のお世話をさせていただいている漢方の研究会に入会させてもら…

日の目

急に息子が漢方薬に興味を持ち始めた。長い間こうなることを望んでいたが、必要がなかったと見えてずっと無関心だったから僕自身は諦めていた。仕方ないから、勉強に来ている薬剤師になんとなく教えていたが、やはり他人と家族では教える僕の熱意が違う。よ…